イシグロカズオの作品の中でも扱われているが、1952年頃にクローン人間の研究成果が発表された。そこでは、人々が自分の臓器を提供して人生を終わっていく姿が描かれているが、臓器提供者として30年の人生を終わるとすれば、それはどのような人生であろうか。大切な人と最期を過ごすのであろうか。イシグロカズオの『Never Let Me Go』という小説は、力強く、繊細なタッチで描かれた作品である。この作品では、時間、生、死、といった特別なテーマが取り上げられている。映画化されたものは、原作とは違ったものになっているが、本論文では、原作と映画の内容の違いを基に、時間、生、死に対するイシグロカズオの考え方やその表現の仕方について考察を行う。
雑誌名
長崎外大論叢
雑誌名(英)
The Journal of Nagasaki University of Foreign Studies